Be My Eyesというアプリをご存知ですか?
ひとことで言うと、「視覚障がい者の方の支援ができるアプリ」です。
視覚障がい者の「この手紙の差出人を教えてほしい」や、「道案内をしてほしい」といった困りごとをお助けすることができます。
とてもシンプルな方法で支援をすることができる、とてもよいアプリなので紹介しますね。
使用の流れ【準備編】
Be My Eyesにはアプリのダウンロードと登録が必要になります。
アプリはApp StoreやGoogle Playからインストールすることができます。

アプリインストール後、簡単な会員登録を済ませたら、準備完了です!
あとは、視覚障がい者の方からの着信を待つだけです。
使用の流れ【実践編】

視覚障がい者の方がお困りごとがあった際に、このアプリを通してヘルプを出すと、支援者(わたし)に呼び出し通知が来ます。
使い方は、LINEなどのビデオ通話をイメージしていただければわかりやすいと思います。
着信に応答すると、向こうの方のカメラの映像が出てきて通話が始まります。
こちら(支援者)のカメラは起動されず、見えるのは視覚障がい者の方のカメラで映し出される映像のみです。
簡単にあいさつをして、視覚障がい者の方のお困りごとに応えます。
カメラを通して文書を読んだり、物を判別して口頭で内容をお伝えします。
私たちの声からの情報だけが頼りなので、はっきり・わかりやすくお伝えしましょう。
無事支援することができたら、通話を切って完了です。
着信頻度は月1~2回ほど

着信は、月1~2回くらいのイメージです。
思ったより少なくないですか?
同時に多数の支援者(登録者)に一斉に呼び出し通知されるため「早いもの順」で応答するためです。
そのため、自分が通知に気づく前に他の支援者が応答するケースが多々あります。
通知が来てすぐに応答すれば、通話が繋がることが多いので素早さ重視です!
これまで経験した支援の内容
これまで十数回、Be My Eyesの支援をしてきた中で、私が経験した依頼内容をお伝えします。
残しておいたメモをあらためて見返すと、たくさんのお困りごとがありました。
私たちが普段何気なく行っていることも、視覚障がい者の方にとっては難しいと感じることがあるということを肌で感じ、学びました。
手紙の差出人を読む
これは2、3回くらい経験したことがあります。
手元の手紙をカメラに映し出し、「この手紙の差出人を教えてください」と聞かれました。
差出人の字は小さいことが多いので、カメラの向きや位置を丁寧にお願いする必要があります。
これは何の紙?何円札?
手元に何らかの紙を持たれた方からのコールです。
「これは何の紙でしょうか」と尋ねられたので確認すると領収書だったので、金額と内容をお答えしました。
また、お札をカメラに映し出し「これは何円札ですか?」とも尋ねられました。
たしかに、お札ってどれもサイズがほぼ同じで材質も同じなので見えないと判別難しいよな、と思いました。
道案内

スーパーの駐車場からお店の入り口まで道案内してほしい、というご依頼でした。
これはとても難しかったです。
足元や障害物がカメラ越しでは広角で見えずに、数回物にぶつからせてしまい、大変反省しています。
普段自分が歩いているようにスイスイ行くわけではないよね、ということを思い知らされました。
そして、視覚障がい者の方にとっては、外には障害物があまりにも多いということを学びました。
落とし物を探す(&畑自慢♪)
歩いている最中に障害者手帳を落とされてしまった男性からの着信でした。
カメラを足元に向けて、歩いてきた道をゆっくりたどりながら戻っていただくと、すぐそこに落ちていました!
手帳を胸ポケットに入れたと思ったら、そのまま地面に落ちてしまっていたようです。
その現場のすぐ近くに大きな畑があって、男性が「僕全盲なんだけどね、この畑やってんだよ!」と嬉しそうに教えてくれました。
「今は里芋と海老芋を育ててるんだ~~♪」とのことで、「これからの季節(秋)楽しみですね♪」とお答えすると、「お姉さんにお礼にあげたいけどなぁ♪」と言ってくださり、とてもほっこりした思い出です。
家電の品番を読む
髭剃りの型番を探すご依頼でした。
黒色の髭剃りで、型番も小さい字で書かれているので読み取るのに苦労した思い出です。
カメラ越しで、小さい物を的確な角度で映し出していただくための指示が大変でした。
ですが、最終的に型番をお伝えすることができよかったです。
自販機で飲み物の種類を教える

自販機前から発信された方からのご依頼です。
自販機で売られている飲み物を、上から順番に一つ一つ伝えるというお助けでした。
「炭酸がいいなぁ~♪」とのことで、CCレモンを選ばれていました(^^♪
暑い日だったので、お役に立ててよかったです!
ボイスレコーダーの電源と音量ボタンの位置を教える
お持ちのボイスレコーダーの電源と音量ボタンの位置をお伝えするヘルプでした。
とても小さなボイスレコーダーなので、たしかにボタンの位置がわかりづらそうでした。
目が不自由な分、ボイスレコーダーはとても大切な物なのかもしれませんね。
お気に入りのユニフォームを探す
何着かある野球球団のユニフォームを手に持たれて、その中からお目当てのユニフォームを探すヘルプでした。
ソフトバンクやオリックスなどたくさんのユニフォームがありました!
その時はたしか阪神タイガースの黄色いユニフォームをお探しだったような?
たしかに、野球のユニフォームってどれも形や素材が似ていて、触感だけでは判別がしづらいかもしれません。
モニターの数字を読み上げる
何かの機械のモニターに映し出される「89%」や「105」といった数字を読み上げるヘルプでした。
何の機械で、何の表示なのかはわかりませんでした。
世の中、知らないことがまだまだたくさんありますね。
タイムカードの打刻ができている?

お仕事に出勤された直後のコールだったようです。
「今しがた押したタイムカードに、ちゃんと出勤打刻が押せたか見てほしい」というヘルプでした。
無事、打刻できていました◎
たしかにタイムカードってたまにずれて印字されるし、難しいですよね。
アプリを使って思うこと

「Be My Eyes」を使い始めて約3年ほどが経ちます。
その中で得られたことは、「相手の立場になって考え、伝える」ことの大切さを学べたことです。
このアプリを通して、「わかりやすく指示すること」の難しさを感じました。
こちらが得られる情報は、限られた画角に映し出されるカメラの映像と視覚障がい者さんの声のみです。
当然ですが、視覚障がい者の方はどのようにカメラに映し出されているのかが見えていないので、最初はカメラの焦点がずれていることもあります。
そんな時、たとえば「もっと右にずらしてください」と指示をすると、「カメラを右?物を右?」と混乱させてしまいます。
そうならないためにも、「カメラをもう少しだけ、右のほうにずらしてください」などわかりやすく、丁寧にお願いします。
私たちにとって当たり前にできることが、視覚障がい者の方にとっては難しいこともあるということを念頭に置いておく必要があります。
そのため、いつも以上に丁寧にわかりやすく言葉を選んで話す必要があります。
たしかに難しいことですが、丁寧に話すということは日常生活でも大切なことだと思うので大変勉強になりました。
まとめ

普段、なかなか視覚障がい者の方の支援をする機会はありませんが、アプリを通して人のお役に立て、感謝していただくことでこちらまで嬉しくなります。
このアプリを発明した人、天才!
誠実な気持ちがあれば、誰でも人助けができるアプリなのでぜひインストールしてみてくださいね。
もし着信に出られなくても、きっと他の人が代わりに支援しているので大丈夫ですよ♪
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